Jamf × Apple Business Managerで「ゼロタッチ導入」はどこまで自動化できるのか?

MacやiPad、iPhoneを業務で利用する企業が増える一方で、
「端末の初期設定に時間がかかる」
「設定漏れやアプリ不足が起きやすい」
「入退社が多く、端末管理が追いつかない」
といった悩みを抱える情報システム部門担当者は
少なくありません。
特にAppleデバイスは使いやすさが評価される反面、台数が増えるほど
キッティングや運用負荷が大きくなりがちです。
1台ずつ設定を行う従来の方法では、工数の増大だけでなく、
セキュリティポリシーの不統一やヒューマンエラーのリスクも高まります。
こうした課題の解決策として注目されているのが、
Apple Business Manager(以下ABM)とMDMを組み合わせた「ゼロタッチ導入」です。
端末を開封して電源を入れるだけで、業務に必要な設定やアプリが自動的に適用される
すでに多くの企業が導入を進めており、情報システム部門の負担軽減に直結する仕組みです。
Apple Business Manager(ABM):Apple公式の管理ポータルで、企業や教育機関が購入したApple製品(Mac、iPad、iPhone)を一元管理するためのサービスです。Apple製品を会社の資産として登録し、MDMに紐づけるための“入り口”のような役割となります。
MDM(Mobile Device Management):スマホやPCなどの端末を遠隔で管理する仕組みです。会社のルールを端末に自動で反映させる“コントロールセンター”のような役割となります。
目次
●Apple Business Manager(ABM)で、できること
ゼロタッチ導入とは?
社員が受け取ったMacやiPadを開封して、電源を入れる――。
これだけで、Wi‑Fi設定・証明書・VPN・パスコード方針・業務必須アプリのインストールが自動で進み、
数分後にはメールもコラボツールも使える状態に。
情報システム部門は1台ずつの初期設定(キッティング)に触らない。利用者は電源を入れるだけで業務開始できる。
この“触らずに導入できる状態”が、ゼロタッチ導入のイメージです。
その実現には、Appleの公式管理基盤Apple Business Manager(ABM)と、
Appleに最適化されたMDM製品の組み合わせが鍵になります。
●モバイルデバイスマネジメント(MDM)
端末(Mac/iPad/iPhone)を遠隔管理し、構成プロファイルやアプリ、セキュリティポリシー、OSアップデートなどを配布・制御するための“コントロールセンター”の概念。
Jamf Pro:MDM製品のひとつ。Apple専業のMDMで、ゼロタッチ導入に必要なポリシー配布、アプリ配信、OS更新制御、紛失対策などを網羅しています。
●Apple Business Manager(ABM)
Appleが提供する公式の管理ポータル。企業・教育機関が購入したApple製品を“会社資産”として登録し、初回起動時にMDMへ自動登録(Automated Device Enrollment)させる“入り口”の役割。加えてApps and Books(旧VPP)でアプリライセンスの一元管理も可能。
MDMとは別軸の存在(ABMは資産登録・自動登録のハブ、MDMは設定配布・制御のエンジン)

なぜ今「ゼロタッチ導入」が注目されているのか
テレワークやハイブリッドワークの定着、BYODから会社支給端末への移行を背景に、
企業でのMac・iPad・iPhone導入は急増しています。
また社外から安全に業務を行うための仕組みが求められています。
しかし現場では、次のような課題が頻発しています。
●初期設定に時間がかかる
端末の初期設定にはWi-Fi設定、証明書インストール、セキュリティポリシー適用など多くの手順が必要です。これらを手動で行う場合、1台あたり数十分から数時間かかり、導入台数が増えるほど情報システム部門の負担が増大します。
●アプリ不足や設定漏れで業務が止まる
業務に必要なアプリがインストールされていない、または設定が不完全な場合、ユーザーは業務を開始できず、サポート依頼が急増します。これにより生産性が低下し、情報システム部門はトラブル対応に追われることになります。
●端末管理が追いつかない
人事異動や入退社が頻繁な企業では、端末の再設定や回収・再配布が常態化します。手動対応ではセキュリティリスクが高まり、管理外端末の発生や情報漏えいの危険性が増します。
こうした負担を軽減する仕組みがゼロタッチ導入です。
ユーザーが電源を入れるだけで設定・アプリが自動適用される仕組みを、
Apple Business Manager(ABM)+Jamf Pro(MDM)で実現します。

ゼロタッチ導入の誤解されがちなポイント
「ゼロタッチ=完全自動化」と誤解されがちですが、
実際は開封から業務開始までのプロセスを標準化・自動化することが本質です。
ABMで購入端末を管理下に登録
Apple Business Manager(ABM)は、企業や教育機関が購入したApple製品を「会社の資産」として登録するための仕組みです。ABMに登録された端末は、初回起動時にAppleのサーバーを経由して「この端末は企業管理対象」という情報を認識します。これにより、端末は自動的にMDMに紐づけられ、管理者が設定したポリシーを適用できる状態になります。
初期設定時にMDMへ自動登録
ABMとMDMを連携させることで、端末は初期設定の途中で自動的にMDMに登録されます。
これにより、Wi-Fi設定やVPN構成、証明書のインストールなど、業務に必要な基本設定が自動で適用されます。管理者は端末に直接触れる必要がなく、ユーザーは電源を入れてセットアップアシスタントを進めるだけで業務開始できる環境が整います。
Jamf Proでアプリ・ポリシーを適用
Jamf ProはApple専用のMDMソリューションで、
ABMで登録された端末に対してアプリやポリシーを一括適用します。
業務必須アプリの自動配布、セキュリティポリシー(パスコード、暗号化)、OSアップデート管理などを遠隔で実行できるため、情報システム部門は端末ライフサイクル全体を効率的に管理できます。

重要なのは事前設計
配布するアプリ
ゼロタッチ導入を成功させるためには、業務に必要なアプリを事前に定義し、MDMで自動配布できるように設計することが重要です。
Jamf Proを使えば、App Storeアプリや社内専用アプリを一括で配布し、バージョン管理や更新も自動化できます。これにより、ユーザーは初回起動後すぐに必要なツールを利用でき、生産性が向上します。
ポイント
●業務必須アプリをリスト化
●Jamf Proでゼロタッチ配布設定
●更新やパッチも自動適用
強制する設定・セキュリティポリシー
企業のセキュリティ基準を満たすため、Wi-Fi設定、VPN構成、証明書インストール、パスコードポリシーなどを事前に定義します。
Jamf Proを通じてこれらの設定を自動適用することで、端末ごとの設定漏れを防ぎ、情報漏えいリスクを大幅に低減できます。
ポイント
●ネットワーク設定(Wi-Fi、VPN)
●デバイス暗号化(FileVault)
●OSアップデート管理と制御
Apple Account運用ルール
Apple Accountは業務利用において重要な要素です。個人Apple Accountを使うと、アプリ購入やデータ同期でセキュリティリスクが発生します。
そのため、Managed Apple AccountやSSO(Jamf Pro Connect)を活用し、業務用Apple Accountの統一運用を設計することが不可欠です。
ポイント
●個人Apple Account利用を制限
●Managed Apple Accountで業務専用アカウントを発行
●Jamf Pro ConnectでIdP連携しSSOを実現
Apple Business Manager(ABM)で、できること
ABMはApple公式の管理ポータルで、以下を実現します。
自動デバイス登録(Automated Device Enrollment)
Apple Business Manager(ABM)の中核機能で、購入したApple製品を初回起動時に自動的に企業の管理下に登録する仕組みです。
この機能により、端末はAppleのサーバーを経由して「管理対象デバイス」として認識され、ユーザーがセットアップを進める際にMDMの設定が強制的に適用されます。
ポイント
●手動でMDM登録する必要がなくなる
●MDMプロファイルを削除できない状態で適用可能
●紛失・盗難時の遠隔ロックや初期化も容易
初期設定時にMDMへ自動紐付け
ABMとMDMを連携させることで、端末は初期設定の途中で自動的にMDMに登録されます。
これにより、Wi-Fi設定やVPN構成、証明書インストールなど、業務に必要な基本設定が自動で適用されます。管理者は端末に直接触れる必要がなく、ユーザーは電源を入れてセットアップアシスタントを進めるだけで業務開始できる環境が整います。
メリット
●キッティング工数を大幅削減
●設定漏れやセキュリティリスクを防止
●入社初日から業務開始が可能
Apps and Booksでアプリライセンス管理
ABMには「Apps and Books」という機能があり、企業が業務用アプリや電子書籍をまとめて購入し、ライセンスを一元管理できます。
Jamf Proと連携することで、これらのアプリを対象端末に自動配布し、ライセンスの再割り当ても簡単に行えます。これにより、アプリ不足や手動インストールの手間を解消し、業務開始までの時間を短縮できます。
ポイント
●業務必須アプリを一括購入・管理
●Jamf Proでゼロタッチ配布設定
●ライセンス移管や更新もスムーズ
ただし、ABM単体ではアプリ配布や詳細ポリシー管理はできません。

Jamf Proとの連携が必須です。
Jamf Proを組み合わせるメリット
Jamf ProはApple専業MDMとして、ABM連携でゼロタッチを現実化します。
macOSやiOSの最新仕様への追従が早く、
Appleが想定する管理モデルを最も自然な形で実装できる点が大きな特長です。

アプリ自動配布(業務必須アプリ)
Jamf Proを使えば、業務に必要なアプリをゼロタッチで自動配布できます。App Storeアプリだけでなく、社内専用アプリやカスタムアプリも対象です。これにより、ユーザーは初回起動後すぐに必要なツールを利用でき、業務開始までの時間を大幅に短縮できます。
ポイント
●業務必須アプリを一括購入・管理
●バージョン管理や更新も自動化
●ユーザーの手動インストール不要
Wi-Fi・VPN・証明書設定
ネットワーク接続やセキュリティ通信を確保するため、Wi-Fi設定やVPN構成、証明書のインストールを自動化します。Jamf Proを通じてこれらを適用することで、ユーザーは複雑な設定を行う必要がなく、安全な通信環境で業務を開始できます。
ポイント
●社内ネットワークへの自動接続
●VPN設定でリモートワークも安全
●証明書配布で認証を強化
セキュリティポリシー適用(暗号化・パスコード)
企業のセキュリティ基準を満たすため、パスコード設定やディスク暗号化(FileVault)を強制します。Jamf Proを使えば、これらのポリシーを一括適用でき、端末ごとの設定漏れを防ぎます。
ポイント
●パスコード強制で不正アクセス防止
●FileVault暗号化で情報漏えいリスク低減
●セキュリティポリシーを全端末に統一適用
Apple製品OSアップデート管理
Apple製品のOS更新はセキュリティと安定性に直結します。Jamf Proでは、OSアップデートをスケジュール管理し、必要に応じて強制適用できます。これにより、古いOSによる脆弱性を防ぎ、最新機能を安全に利用できます。
ポイント
●アップデートの自動適用
●更新タイミングを制御(業務影響を最小化)
●セキュリティリスクを回避
紛失時のリモートロック・ワイプ
端末の紛失や盗難時には、Jamf Proを使って遠隔でロックや初期化(ワイプ)が可能です。これにより、企業データの漏えいを防ぎ、情報セキュリティを確保します。
ポイント
●紛失時に即時ロック
●必要に応じてデータ完全消去
●情報漏えいリスクを最小化
ゼロタッチ導入でどこまで自動化できる?
自動化できること
初期設定(Wi-Fi、VPN、証明書)
アプリ配布
ポリシー適用
手動作業が必要なこと
物理的な開封・ネットワーク接続
一部アプリの初回ログイン
導入効果
セットアップ工数削減:数時間 → 数分
従来のキッティングでは、Wi-Fi設定、証明書インストール、アプリ配布、セキュリティポリシー適用などを1台ずつ手動で行う必要があり、1台あたり数時間かかることも珍しくありません。
Jamf Pro × ABMによるゼロタッチ導入では、これらの作業を自動化できるため、セットアップ時間は数分に短縮されます。大量導入時の負担が劇的に減り、情報システム部門は本来の業務に集中できます。
ポイント
●手動作業をほぼゼロに
●大量導入でもスピード対応
●人的ミスを防止
入社初日から業務開始
ゼロタッチ導入により、新入社員や異動者は端末を受け取って電源を入れるだけで、必要なアプリや設定が自動で適用されます。これにより、業務開始までの待機時間がなくなり、オンボーディングのスピードが向上します。
ポイント
●初回起動で業務環境が整う
●生産性の立ち上がりが早い
●情報システム部門への問い合わせ削減
セキュリティ事故削減
設定漏れやポリシー未適用によるセキュリティリスクは、手動キッティングでは避けにくい課題です。Jamf Pro× ABMでは、暗号化やパスコード強制、MDMプロファイル削除不可などのセキュリティ設定を自動適用できるため、情報漏えいリスクを大幅に低減できます。
ポイント
●セキュリティポリシーを全端末に統一適用
●設定漏れ防止でリスク最小化
●紛失時のリモートロック・ワイプ対応

導入前に検討すべきポイント
ABM登録対象確認
ゼロタッチ導入を実現するためには、対象端末がApple Business Manager(ABM)に登録可能であることを確認する必要があります。
ABMに登録できるのは、Appleまたは認定リセラーから購入した端末です。購入経路や注文番号をABMに紐づけることで、初回起動時に自動的に管理対象として認識されます。
ポイント
●購入元がABM対応か確認
●注文番号やApple Customer NumberをABMに登録
ネットワーク要件
ゼロタッチ導入では、初期設定時に端末がAppleサーバーとMDMサーバーにアクセスできる必要があります。
そのため、Wi-Fi環境やVPN設定、証明書の配布方法を事前に設計し、ネットワーク到達性を確保することが重要です。
ポイント
●初回起動時にインターネット接続必須
●社内Wi-Fiの自動接続設定をMDMで配布
●VPN構成や証明書を事前に準備
社内ポリシー整合性
ゼロタッチ導入を進める前に、社内のセキュリティポリシーや運用ルールと整合性を取る必要があります。
パスコード要件、暗号化ポリシー、OSアップデート管理などをJamf Proで適用する際、既存のITガバナンスと矛盾がないように設計します。
ポイント
●セキュリティ基準(暗号化・認証)を確認
●OSアップデートのタイミングを社内ルールに合わせる
●Apple Account運用(Managed Apple Account)を統一
PoC(概念実証)から段階導入
ゼロタッチ導入は一度に全社展開するのではなく、PoC(概念実証)から始めるのが安全です。
小規模なグループでテストし、問題点を洗い出したうえで段階的に拡大することで、トラブルを最小化できます。
ポイント
●パイロット導入で検証
●部署単位で段階展開
●運用マニュアルやFAQを整備
Apple製品を安全に運用するには
Jamf ProとApple Business Managerを組み合わせることで、ゼロタッチ導入は、もはや理想論ではなく、Apple製品管理の新しい標準です。すべてを自動化するのではなく、「無理なく、確実に自動化する」ことが、これからの情報システム部門運用には求められています。
Appleデバイス管理の標準となりつつあるJamf × ABM。ゼロタッチ導入は、情報システム部門の負担を軽減し、企業全体の生産性とセキュリティを底上げする重要な施策と言えるでしょう。
ぜひご検討ください。

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